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#4 じいちゃんとの約束 〜ブルーベリー観光農園の原点〜
2025 / 06 / 19


こんにちは
ブルーベリーファームうすきの伊東健太です。
今回は、私がこの観光農園を始める上で、どうしても皆さんにお伝えしておきたい「じいちゃんとの約束」についてお話しさせていただきます。
今ここで農園を営んでいられるのは、間違いなく家族、そして祖父の存在があったからです。
■ じいちゃんが守り続けた土地
今、私がブルーベリー観光農園を営んでいるこの土地は、もともと私の祖父の土地でした。元々は田んぼだった場所です。しかし、80年ほど前に田んぼとしての役目を終えた後は、作物を作ることもなく長い年月が経っていました。
田んぼをやめてからは、ほとんど荒れ地のようになっていたにも関わらず、祖父は定期的に草刈りを続けてくれていました。もしあの時、草刈りをやめていれば、今頃この土地は森になり、再び農地として活用することは難しくなっていたはずです。
「草を刈るだけでも続けておけば、いつか使う時がくるかもしれない。」
祖父はそんな思いで、長年コツコツと手を入れ続けてくれていました。そのおかげで、私は今この場所でブルーベリーを育てることができています。じいちゃんが守り続けてくれた土地を、自分の手で活用する──これは今でも私の中で大きな原動力となっています。
■ 祖父は農業の大先輩
祖父は、実家が代々農家であり、本人もJAに勤めながら、みかんやカボスの栽培を行っていました。私にとっては農業の大先輩。
農業の厳しさや難しさを知り尽くしている人でもありました。
私が「じいちゃん、あそこの土地で観光農園をやろうと思う」と最初に話を持ち掛けたとき、正直言って祖父の反応は冷ややかなものでした。
「農業は甘くないぞ。」
そうバッサリと言われました。農業は天候に左右される、病害虫がある、販路の確保も簡単ではない──
祖父は一つひとつ具体的なリスクを挙げてくれました。祖父の言葉は、厳しくも現実的でした。経験から出る言葉だからこそ、重みが違いました。
ただその一方で、私の中にあったのは「自分が作ったものを直接お客様に届けたい」という強い想いでした。だから、祖父の意見を聞いて諦めようとは思わなかったのです。
■ 伝わらないもどかしさ
正直なところ、祖父と農業について深く話すことは、私自身、どこか避けてしまっていた節があります。
観光農園をやりたい、ブルーベリーを育てたい──そう思い始めた頃から、「じいちゃんになんて言おうか」と考えてはいましたが、本気の気持ちを伝えるには、まだ自分の中でも確信を持てていなかったのだと思います。
祖父も、あまり多くを語る人ではありませんでした。
「農業は甘くない」と一度だけ言われた以降、具体的にどうこう言うことはなく、私の話にも深く踏み込むことはありませんでした。
その距離感が、どこか寂しくもあり、でもありがたくもありました。
本当はもっと話したかった。
けれど、農業の厳しさを知っている祖父の前で、自分の理想や夢を語ることに、どこか気が引けていたのも事実です。
「本気でやるって決めた時に、ちゃんと伝えよう」
そんな思いで、心の中に言葉をしまい込んだまま、時間が過ぎていきました。
■ 最後の約束
そんな祖父も高齢となり、病気を患うようになっていきました。
病室で会うたびに、話せる時間も限られていきました。祖父の体調が悪化していく中で、「早くしっかり想いを伝えなければ」という焦りも生まれてきました。
そして、祖父が亡くなるわずか3日前。私はもう一度、祖父の病室を訪れました。
その時、私は覚悟を決めて、もう一度はっきりと祖父に伝えました。
「じいちゃん、あそこの土地でブルーベリーの観光農園をやるから。土地は俺に任せてくれ!」
私の目をまっすぐ見つめながら、祖父はこう言ってくれました。
「お前が土地のことを真剣に考えてくれていて、活用してくれるなんて、こんな嬉しいことはない。本当にありがとう。」
私は涙をこらえきれませんでした。
この瞬間、ようやく祖父と心が通じ合えた気がしました。最後に自分の気持ちと意思を伝えられたことは、今でも私にとって大きな支えとなっています。
■ 今も背中を押してくれている
今、このブルーベリー観光農園でお客様が笑顔でブルーベリー狩りを楽しんでくれている光景を、祖父がもし生きていたらどんな表情で見てくれただろう──そう思うことがよくあります。
きっと祖父は、少し照れながらも嬉しそうに「よく頑張ったな」と言ってくれるのではないかと思います。
祖父との約束は、今も私の中で生き続けています。
この土地を守ってくれた祖父の想いに恥じないように、これからも大切に農園を育て、臼杵の魅力を発信し続けていきたいと思っています。
ぜひまた読んでいただけると嬉しいです!
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